江戸前天ぷら夏の定番「キス」
今回は天ぷらの白身魚でおなじみ、キス(鱚)をご紹介します。キスといえば1年中食べられる魚という印象ですが、旬は梅雨から夏ごろ。寒い冬は30m~50mの深い場所に生息するキスは、初秋に産卵期を迎えるため、産卵前の夏はエサを求めに浅瀬まであがってきます。キス釣りの水揚げはこのときがピーク。エサをたくさん食べ、よく肥えたキスが出回りはじめます。
江戸前天ぷら屋さんではキスの天ぷらは夏の定番。思わず店内に入りたくなる、キスを目玉にした表看板を見かける季節ですね。キスの身はくせがなくとても淡白。カラッと揚がった天ぷらをサクッと食べて、口のなかで広がるフワフワの上品な身は、まさに至福の味わい。ついついお酒を飲み過ぎてしまう、夏に欠かせない旬の一品です。キスの骨に小麦粉をまぶして揚げるキスの骨せんべいは美味しいおつまみになるので、骨も捨てないように。夏はビールとよく合う天ぷらやフライが人気ですが、繊細で上品な味の白身は刺身にしても絶品です。新鮮なキスのお刺身は、ほのかに甘みを感じます。そのまま召し上がるのはもちろん、キスの焼き霜造り(*)や軽く塩を振ったキスの昆布締めにしても、一味違ったキスの味を楽しめるはず。お刺身で使う場合は、身や腹に締まりがあり、眼が澄んでいるものを選んでくださいね。魚ポチでは福岡の産地よりキスを仕入れています。ぜひ見てみてくださいね。
*焼き霜造り:皮目をバーナーで炙り、焼き目をつけてから氷水で冷やし刺身にしたもの。